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そのため、企業の人事・労務を担当している方は、働きやすい組織環境などを構築・提供し、従業員の定着率を高めていかなければなりません。 「離職率」は働きやすい環境を従業員に提供できているかを測る1つの指標として役立ちます。しかし、自社の離職率をどう計算すればよいかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。 離職率の計算方法は法的に定められているわけではありませんが、「一定期間内で働いていた人数のうち、離職した人数の割合」を計算式に沿って算出するのが一般的です。 組織の離職率を把握し、「業界平均離職率」を上回っているのか、下回っているのかを確認しましょう。 離職率が業界平均よりも高い場合、離職者数を減らす施策を実施する必要があります。 今回の記事では、離職者数の計算方法と、厚生労働省が発表した「業界別の平均離職者数」など、自社の離職率を判断する基準についてご紹介していきます。 そのうえで、離職率を下げる主な施策について解説していきます。 記事を最後まで読んでいただければ、ご自身が身を置く組織の離職率の現状を把握できるようになり、次に行うべき人事施策などの選定に動き出せるようになります。 離職を防ぐために効果的なタレントマネジメントシステムの使い方とは 離職率の計算方法 離職率は以下の公式で計算できます。 離職率の計算方法業界別の平均離職率離職率を改善する7つの方法1.社内向けアンケートを実施して、優先的に対処すべき課題を特定する2.労働環境の見直しを行う3.社内制度を変更する4.人事評価を整備する5.社員の教育制度・学習機会を充実させる6.社内でのコミュニケーションを円滑にする7.働き方に多様性を持たせるまとめ 厚生労働省が行っている調査は1月1日を起算日に設定しますが、企業が計算する場合は4月1日が起算日であることが多いです。 例えば、2018年4月1日時点の従業員100人から3年後に20人辞めた場合の計算は以下となり、3年間の離職率は「20%」となることがわかります。 実際に企業が離職率を計算する場合は「特定の期間内での離職率」や「勤続年数ごとの離職率」などを求める機会が多くあり、「企業が定めた一定期間内の離職者数÷起算日の在籍者数×100(%)」で離職率を計算することも多いです。 業界別の平均離職率 以下の表は厚生労働省が約15,000の事業所を対象に行った調査から算出した、令和元年の業界別の平均離職率です。 下記の表の数値よりも離職率が高かった場合は、改善に向けて人事施策の実施が必要です。 参考:-2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概況- 離職率を改善する7つの方法 離職率の改善には、まず従業員を対象にしたアンケートを実施しましょう。 離職率を下げるにはいくつかの方法がありますが、それらすべてを平行して実施するのは現実的に難しいでしょう。また、効率の観点からも望ましくないです。 従業員が組織に対し抱いている感情や意見などを吸い上げて、「特に離職率に影響を与えている原因は何か」を特定し、より改善優先度の高い課題に対して対策するのが良いでしょう。 従業員の離職につながる要因を把握したうえで、労働環境の整備・社内制度の見直しなどを、優先順位をつけて実施していきます。 1.社内向けアンケートを実施して、優先的に対処すべき課題を特定する まずは社内向けアンケートを実施し、「組織体制の何が原因で離職率が高まっているのか」「特に優先すべき課題は何か」を特定することから始めましょう。 社内向けアンケートとして実施すべきなのは「エンゲージメントサーベイ」や「従業員満足度調査」です。 エンゲージメントサーベイは組織と従業員の結びつき、従業員が組織に抱く信頼や働きがい(エンゲージメント)を数値化する調査です。 一方従業員満足度調査は、福利厚生や待遇など、従業員の「働きやすさ」を調査するために行います。 エンゲージメントサーベイについては以下記事で詳しくまとめています。 参考:エンゲージメントサーベイとは?実施の目的・効果と、参考にすべき12の質問例 下記資料ではエンゲージメントサーベイを進めていくうえでの具体的なノウハウを紹介していますので是非ダウンロードしてみてください。 2.労働環境の見直しを行う 離職率を改善する上で効果のある方法は労働環境の改善です。 「同業他社と比べて残業が多い」「業界平均よりも休日が少ない」「同業他社よりも給料が低い」「頑張っても給料が上がらない」などは、従業員満足度を低下させる直接的な要因となります。 2-1.労働時間を変更する 離職率の高い企業の特徴としては「労働時間が長いこと」が挙げられ、これを改善するだけで、離職率を大きく下げられる可能性があります。 労働時間については2019年4月の法改正により、残業時間に上限が設けられています。業界や企業規模によって変動しますが、残業時間は原則月45時間以内・年間360時間以内となっています。 しかし、「事業が立ち行かない」などを口実に、上限を超えた残業が発生している企業・業界があるのも事実です。 離職率の改善のみならず、法律遵守という観点からも労働時間の見直しは急務です。 とはいえ、労働時間を是正することは大きな労力・時間を要します。離職率を下げる施策として必ず実施すべきですが、必ずしもすぐに数値に跳ね返るわけではなく、中長期的な施策であることを認識しましょう。 参考:時間外労働の上限規制 | 働き方改革特設サイト | 厚生労働省 2-2.休日を増やす 休日を増やし従業員のワークライフバランスを改善することは、離職率の低下に大きく寄与します。 実際に就職情報を提供しているマイナビが行った調査によると、「学生が行きたくない会社」の特徴の第3位に、「休日・休暇の取れない会社」が挙げられています。全体の約25%が、このような会社には行きたくないと回答しています。 参考:「2020年卒マイナビ大学生就職意識調査」を発表 離職率の高い「宿泊業・サービス業」は、ゴールデンウィークや祝日、土日は稼ぎ時であることから休日数が少なくなる傾向があります。 その影響もあり離職率は業界トップとなっており、いかに休日を増やすことが重要かわかります。 参考:「休みを増やせば利益が増える」は本当か? 2-3.給料が同業種と比べて低い場合が給与体制を変える 同業種と比べて給料が低く、それが直接的な原因となって離職を引き起こしている場合は、給与体制を見直す必要があります。 例えば、「今の仕事は好きだけど、給料面に不満がある」という場合、同業種で今よりも給与体制の優れた企業があれば転職を考えるきっかけを与えてしまうのです。 給与体制を変えるには以下のような方法があります。 家族手当や役職手当などの手当の増加会社への貢献度(売り上げなど)に応じた給与制度の設計 3.社内制度を変更する 社内制度を改善し、働きやすい会社をつくることも従業員の離職率を改善するのに効果的です。 休暇の取りにくい企業や福利厚生が充実していないという点も離職を促す可能性があります。 3-1.休暇を取りやすい制度・風土を構築する 休暇を自己申告ではなく「会社側から休暇を提案する」形をとるなど、休暇の取りやすい制度を作るもの効果的です。 有給休暇取得の義務化になった今でも、「有給休暇を取得しづらい」という課題を抱えている企業は少なくありません。 人手が足りず「休暇を取ることで他の人に迷惑がかかる」といった理由もあり、休暇を取りづらく不満に感じている従業員も多いです。 以下のように企業が主体となって休暇取得を促進するのが効果的です。 部署やチーム制で有給休暇を取得する仕組みを作る企業全体で有給休暇を取得する日を決める 参考:有給休暇の取得促進方法とは?取得率が上がった他社事例も紹介 3-2.福利厚生を充実させる 企業の福利厚生を充実させることは従業員の満足度向上やモチベーション向上につながり、離職率の改善につながります。 従業員がお得に感じるような福利厚生を充実させることで、企業への愛着度も高まり、離職率の低下につながります。 参考:離職防止のための対策と、定着率を上げる具体的な5つの取り組み また、福利厚生としてよく取り入れられているものとして、食事補助があります。 食事補助の導入は、社員の健康面のサポートや満足度向上につなげることができます。 以下に、置き型社食サービス「OFFICE DE YASAI」のサービス紹介資料をご用意しましたので、ぜひご覧ください。 健康的で美味しい社食を100円~提供する置き型社食サービス「OFFICE DE YASAI」...